私に迷いはなかった

「視界を取り戻した私は、頭の中でこのポジションからの脱却をイメージした。膝を狙って蹴ると、船木は少し後ろへ下がった。立ち上がるチャンスだった」

「船木は私が床に倒れていたのは、自分の攻撃によるダメージで起き上がれなかったと解釈していたのだろう」

「たとえ立ち上がっても、まだ体勢を整えるのに少し時間が必要だと判断していたのだろう。ところが私は視覚を取り戻して立ち上がった瞬間、すでにギアは全開だった。船木は私が視覚を回復する時間稼ぎをしていたとはまったく思っていなかったのだろう」

「私はまるで試合開始の合図を聞いてたかのように飛びかかり、これが船木を驚かせた。私が戸惑ったり迷ったりするものと思っていたのだろう。自分でも驚くほどの勢いだったが私に迷いはなかった」

「見たいものが見えるよになったとたん、猛攻撃を始め、すぐに私たちはリング中央でもつれ合った。船木は押し返そうとしたが、私はそれを許さず、頭を引き込んで床に手をつかせる。私が主導権を握り、トップをとり、殴り、チョークを決めた」
byヒクソン・グレイシー
