「柔術には人を変える力がある。そう理解しはじめた私は教えることの魅力にはまり、内面から人は行動を変えられる自分の力に魅せられた。柔術を教えるだけではない。誰かの人生に何らかの影響を及ぼすことができるのだ」
「父からは、優れた指導者になりたければ技だけでなく心を教育する媒体として柔術を考える必要があると教わった。生徒は戦い方だけでなく、危険を感知する方法や忍耐と受動のちがい、一時的な負けと完全な敗北は同じでないことを学ぶのだ」
「それにはまず、生徒がどういう人かを理解しなければいけない。興奮しやすい生徒は落ち着かせてやる。おだやかすぎたら尻に火をつけてやる。受け身になりがちな生徒は積極的にさせる。父とホリオンからは、格闘を教えるだけでなく精神を含めた人間性全体にはたらきかける方法を教わった」
「生徒の本当の個性が見えてくるのは物理的な圧力をかけられたときだ。マットの外では隠せることもたちまち露わになる。たとえば感情のバランス、また、かけられた圧力にどんなふうに対処するか。こういった情報を把握したうえで生徒のニーズに合わせたカリキュラムを作成すれば、個々の生徒に深い恩恵をあたえることのできる」
「自分がどんな戦い方をしているかだけでなく、戦っているとき自分の心がどう動いているかを、本人ね見定めさせるのだ。自分と正直に向き合えば、柔術が上達するだけでなく、より強い人間へ生まれ変われる。戦いの場だけでなく日常生活においても、よりたくましく賢く粘り強くなれる」
byヒクソン・グレイシー