「今日の私が獲得してにたものでーーー少なくともその一部はーーー呼吸のおかげと言ってもいい。最高のパフォーマンスも、感情の制御も、忍耐力も、すべて呼吸があたえてくれた」

「呼吸の仕組みとその応用法を学びはじめると、私のスプリット能力、つまり全力で爆発的に動ける時間が相手の倍になり、回復にかかる時間は相手の三分の一から四分の一になった。平時に相手の心拍数が一分あたり八〇から九〇で自分が六〇なら、試合中たちまち相手は一二〇、自分は九〇と差が開く」

「相手はすぐに一五〇まで上がるのに、私はまだ一〇〇でしかない。こうなると相手はパニックに陥るーーー自分には休憩が必要なのに、敵である私にはその必要がないとわかるからだ。オーランド・カニは頭を空っぽにして脳の代わりに直感を活用する方法を教えてくれた」

「彼とトレーニングしたあとは知覚が研ぎ澄まされ、誰かと握手したときに敵か味方か、リラックスしているか緊張しているか、楽しいか悲しいか、自信があるかないかを瞬時に察知することができるようになった。これはリング上での大きなアドバンテージだ。戦うとき感情的にならず、知性に頼ることもなくなった」

「戦略を考えることもなく、ただ深いレベルで相手とつながるにまかせる。ゴングが鳴った瞬間、何の予測もせず、何の計画も立てない。この境地に至るには勝敗についての考えを捨て去る必要があった。そのときどきの試合で目の前の相手と戦うために必要がないものは、すべて古い棚に置いてきた」
byヒクソン・グレイシー