「第一回のUFCでは、ホイスはトレーナーとコーチを引き受けてくれたら賞金の一部を提供すると約束した。しかし彼が優作したあと、その賞金はホリオンが懐に入れ、私には何ひとつよそさなかった」
「第二回大会の準備中もホイスは同じ約束をした。もういちど力になったが、ホリオンはやはり優勝賞金を握ったまま何も報いようとしなかった。私が尽力したのは柔術の名誉を守るためだったが、ホリオンは自分を支えることしか考えていない」
「だから、ホリオンと父、そしてUFCの共同創立者アート・デイビーからようやくUFCの参戦を打診されたとき、私が彼らに向ける関心はビジネスだけのものだった。UFCの方向性も好きになれなかった。ファンに迎合し、またバーリトゥードを非合法化しようとする政治家たちに譲歩して、私好みのじっくり時間をかける戦いからどんどん遠ざかっていた」
「ホイスの時代は終わろうとしていて、父とホリオンにもそれがわかっていた。UFCも最初は真のバーリトゥードを推進していた。ところが、政界から批判の声が上がるやルールを修正してラウンドの制限や体重による階級制を設け、格闘をスポーツに変えた。チャンスにつけ込む時間が制限されれば、戦いの本質が根本的に変わってくる」
「ルールの変更で観る側は楽しくなるのかもしれないが、皮肉にもそれは試合の暴力性を高め、戦略や技術の必要性を低下させることになった。UFCはバーリトゥードを別のより残酷な性質のものに変えようとしていたのだ」
byヒクソン・グレイシー