「命を賭けた闘いをしているときほど、個性がはっきり表れる状況は他にない。もちろん、たいていの場合、道場では命を賭けて闘ったりはしないから、タップすれば試合は終わる。いつでもギブアップできるが、そんなことをしたい人間などいない」

「みな闘う以上は、勝ちたいのだ。だから人格がいろいろな形をとって表れる。自分の中にある臆病な心が見えるかもしれないし、他の人を気遣う気持ちになるかもしれない。道場でそう実感してきた私は、自分はどういう人間になりたいのかを考えるようになった」

「そしてまず、自分に問いかけることから始めた。何を感じたか?何を素晴らしいと思ったか?どこが良くなったか?人として間違った行為がなかったか?何がフェアで、フェアでないか?何が良くて、何が悪いか?心の中でこんな質問を繰り返すうちに、武士道を理解するようになった」

「武士道という言葉を初めて聞いたのはそれよりずっと後になってからのことだが、まぎれもなくそれは武士道だった。武士の進むべき道は一本しかないからだ。道を踏み外してはいけない。勇敢であること。潔いこと。だとすると、私が自然に身につけていたのは、まさに武士道そのものだったのだ」

「それは学校の授業で学ぶことなどできなかった。そして、『あいつは強そうだな』などという表面的な印象からは、決して分からないことだった」
byヒクソン・グレイシー