「私が柔術で身につけたのは、今ここに存在しているという感覚だった。たった今、この瞬間のすべてに集中することの大切さだった。『今』ここにいられるということは、単純だが大きな意味のある事実だ」
「ところが、先のことを心配したり、過ぎたことを振り返ったりして、『今』を生きていない人がますます増えている。『今』を大事にしていれば、目の前にあるお茶を味わい、この瞬間を楽しみ『今』を満喫できるだろう」
「朝のシャワーも、子供との会話も、映画を見ることも、大きな喜びで、どんなことをしていても、活気に満ちているはずだ。しかし、多くの人が、どんなことにも深い一面があることに気づかないまま、何となく時間を過ごしている」
「衣服が肌に当たる感覚、風呂につかる気持ちよさ、そのすべてを心から感じるべきだ。ところが一年先までスケジュールが詰まっていて、いつも忙しそうにしている多くの人たちは、そんな感覚を失ってしまっている。『スケジュールがいっぱいだ……来月はここへ行って、それからあっち、それから……』」
「そうやって時間を管理している。いや、管理していると思い込んでいる。百年前には、『金曜日に日本に行く予定で、来月は中国、次は……』と考えることなど、想像さえできなかっただろう」
「今、自分たちが時間を管理していると思えるのは、ある意味で、それができるようになったからだ。すべての予定を立てて、それをこなすために生きているだけで、今という特別な瞬間を生きているのではない」
byヒクソン・グレイシー