「リオはニューヨークとバンコクが合わさったような街だ。騒々しく、セックスや犯罪、麻薬、自然、ビーチ文化が入り混じっていて、“好きなものを好きなだけ〟堪能できる」
「私たちはコパカバーナの瀟洒なアパートに暮らしていたが、ロサンゼルスとはちがって、ビバリーヒルズのような富裕街とコンプトンのような貧民街にはっきり分かれているわけではなく、それらが渾然一体となっている」
「いまビバリーヒルズにいたかと思えば、一本横道に入っただけでコンプトンにいたりする。私は子どものころに都会の路上で身を守る術を身につけた。信号ごとに、その街区に目を光らせて耳を澄ましている集団がいた」
「飲み物を売る者もいれば、お菓子を売る者、麻薬を売る者もいる。車が止まると運転席の窓に近づいていく。運転手が無視して前を見ていると、窓から石をぶつけられて財布ごと奪われることもあった」
「非行グループから喧嘩屋、上流階級のお嬢さん、サーファー、イパネマの美女まで、私は何もかもを理解したかった。よく学校をサボってリオの街をぶらついた。街なかの巡り方もおおよそ決まっていた」
byヒクソン・グレイシー