「キムと私がロサンゼルスの事務所で父、ホリオン、アート・デイビーに会ったとき、私は彼らに言った。ギャラが百万ドルなら喜んで戦おう。UFCのギャラが低いことを正当化しようとするアートに、それはそっちの問題であってこっちの問題ではないと突き放した」
「ついに父がグレイシーのカードを切り、自分の時代にカネのためでなく一族の名誉のために戦った、と言った。私は一族のためにずっと重労働をしてきたし、子どもたちに食べさせる必要もある。ホリオンはもう私を支配できず、多くのグレイシーが彼の支配に反発していた」
「アメリカに来てから一族の序列と力関係は急激に変化した。いまやどのグレイシーも自分のために生きている。この年もまだ私はピコ・アカデミーで指導していたが、意識のほとんどは日本での大会連覇に向いていた。自分の能力にしか頼れない王者は長期政権を築けない」
「身体能力にしか頼れない王者は不完全な王者だ。成長が止まる王者と成長を続ける王者のちがいはそこにある。テニス界の第一人者ロジャー・フェデラーは何度か試合に敗れ、競争相手に追いつかれたと感じた時点で自己改革に乗り出した。スイングを研究し、地面に違いところで球を打つようになった」
「F1レーサーのアイルトン・セナがあれほど人の心を打ったのは、頭の回転を止めない王者だったからだ。勝っているときもけっして自分のパフォーマンスに満足しなかった」
byヒクソン・グレイシー