「決勝戦の相手は体重一五五ポンドの中井祐樹というレスラーだった。この男、まだ戦うのかと私は驚嘆した。一回戦でジェラルド・ゴルドーに片目をえぐられ、重傷を負っていたからだ。その後、その目は永遠に光を失うことになる」
「にもかかわらず、この小柄なレスラーはゴルドーをヒールホールドにとらえて勝利した。準決勝では自分より一〇〇ポンド重いアメリカの巨漢レスラーと対戦し、二十分間、終始グラウンドで上に乗られてパンチを浴びたが、下から相手をコントロールし、最後に腕ひしぎ十字固めにとらえてタップさせた」
「アメリカ人を破ったあと、中井はこう叫んだ。『ヒクソン、あなたと戦うために来た!』中井祐樹は勇者だ。彼の魂の吐露を私は一生忘れない」
「決勝の試合前、控え室で私が自陣営に、この重傷を負った戦士には打撃を使わないと告げたとき、ホイラー、セルジオとの間に短い議論が起きた」
「ホクソン『あの男の顔をみたかい?気の毒に。両目ともふさがっている』、ホイラー『打撃を使わなくちゃだめだ』、私『打撃は使わない。パンチも封印する』、セルジオ『あの男は生涯最大の強敵だぞ。顔にパンチを打て。私が相手でもパンチを打つだろう。彼に打たない道理はない。同情は無用だ!』」
byヒクソン・グレイシー