「私はなによりエネルギーの信者だ。自分の見つけた像が障害を取り除いて幸運を運んでくれるヒンドゥー教の象神ガネーシャであることを知ったとき、像の家に祭壇を付け足した。何かわからないうちから見つけたものに敬意を払ったことで、徳を積んだ気がした」
「その数日後、私は髙田戦のために日本へ出発した。PRIDEはテレビ局主催の、スポーツイベントであるだけでなく、スポンサーの少なくとも一部にはヤクザが存在していた。ヤクザという言葉は、日本の花札で価値のない手を指すものだった」
「時を経て″賭け事をする人たち〟のことになり、やがて犯罪組織やその構成員を意味するようになった。スポーツイベントの収入はチケットの販売やテレビの放映契約からもたらされるが、真の儲けはギャンブルにある。ヤクザは売春、恐喝、密輸に加え、さまざまなタイプの賭け事に関与していた」
「賭け事が違法の日本では、異なる暴力団のメンバーがそれぞれにブックメーカーの役割を担う。賭けの対象として好まれたスポーツは相撲だ。さまざまな組織がスポンサーになって試合を宣伝した。MMAは新しいチャンスだーーー刑務所での服役歴があるヤクザのボス百瀬博教はいち早くそこに目をつけた」
「百瀬はPRIDEの第一回大会に五千万円を出資したと噂される、髙田の支援者だった。私は髙田を見くびっていたわけではないが、戦う選手たちが振り付けに基づいて白熱のショーを演じるプロレスとバーリトゥードはまったくの別物だ。台本のない試合では髙田の思うようにはいかない」
byヒクソン・グレイシー