「東京での試合に向けて山を去る日、みんなが先に出発した。山小屋の二階にひとりでいて、ふと窓の外を見ると、二〇メートルほど離れた大きな松の木の枝にあのイヌワシが留まっていた」
「ハッとして、ワシと目を合わせた。見つめ合った一分ほどで、雄大な生き物からエネルギーが流れ込んできた気がした。試合前の最後の応援に来てくれたのだ。写真を撮ろうとカメラを取りにいったが、戻ってきたときは姿を消していた」
「私のため、私だけのために、この特別な贈り物をくれたのだ。そう思うと、ふつふつとエネルギーが湧いてきた。何ヶ月かハードな練習はしていなかったにもかかわらず、試合当日は気分がよかった」
「あとで聞いたところによると、髙田のコーナーで安生洋二が悪役を演じていたそうだが、髙田に集中していたため気がつかなかった。髙田から弱さや緊張を感知しようとしていたが、彼は一度目より自信に満ちていた」
「直前のセミファイナルマッチに出場したウゴ・デュアルチを彷彿させた。髙田はヒクソン・グレイシーというパズルを解けると信じる計画があったのだ。命をかけて戦う準備ができていた」
byヒクソン・グレイシー