「のちに船木は、タップしないことで死を受け入れ、参ったをするくらいなら死ぬつもりだったと語っている。試合の最後で首を絞められたときは死ぬと思ったそうだ。リングに投げ入れるタオルをセコンドに渡していなかったからだ」
「レフェリーが止めないで、私が自分で止めた。船木は息を吹き返したとき、まだ生きているとわかって嬉しかったとも語っている。私がチョークを解いたおかげで生き延びれたのだ。ホイラー、ホクソン、クロン、チームのメンバー全員がリングに飛び込んできて、感動的な勝利を祝った」
「これは″打倒ヒクソン〟にもっとも肉薄した試合であり、みんながそれを知っていた。試合後、船木はファンに謝罪した。この試合はスポーツではなく決闘と考えていたのでやり直しはきかないと彼は言い、引退を表明した。それから一年ほどして私は彼と話す機会を得た」
「船木のことは気がかりだった。彼はどうやって敗北から立ち直り、人生と向き合っていくのか。船木が私に感謝を述べ、あの試合は人生最高の経験だった、物の見方が変わり、いろんな面を評価し直すことができたからと言ったときは、正直ホッとした」
「私と戦えて光栄だったと言う彼に、こちらこそと返した。自分の使命を真剣に受け止め、そのためには命を犠牲にしてもかまわないと覚悟している人を、私は尊敬してやまない」
byヒクソン・グレイシー