「どうしたものか。友人、家族との再会に心打たれたし、認められたことは光栄に思ったが、赤帯を締めるにはまだ若すぎる気がした」
「どんな業績を残そうと、黒帯を締めてから四十五年経たないと赤帯を締める資格はないというのが一族の伝統だ。私はみんなに着席を求めた」
「そして『私にはまだ早い。特例ではなく通例に従いたい』と言った。なにより、ほかのみんなと同じルールに従うことで絆を固めたかった」
「赤帯は金庫にしまっておくと私が言うと、それに反対するホイラーの声が大きくなったところでホリオンがさえぎり、『おまえは赤帯だと私が言ったのだから、赤帯を締めろ』と力説した」
「ホリオンと議論しても埒が明かない。兄弟ふたりにキスして、家族や友人とこの瞬間を楽しむことにした。この日集まってくれたみんなに訴えたかったのは、柔術界が団結することの大切さと、そこから生まれる力についてだった」
byヒクソン・グレイシー