先日、宮崎市のYAWAY柔術アカデミーで開催された柔術&グラップリング・イベント『GIDĒON & COUNT COMBAT』の現在の競技柔術とは異なるルールの中のポイントシステムに″ベースコントロール・ポイント〟というポイントがありました。

ベースコントロールというポイントは相手の重心を奪い、グラウンド状態でも持ち上げられたら、持ち上げ方にポイントがつくというものです。

ようは持ち上げられて床に叩きつけられたら危険ですよというスラミング(バスター)への注意喚起のようなポイントです。

寝技の競技と化したブラジリアン柔術に失われつつある身を守るセルフディフェンスへの意識を促す素晴らしいポイントシステムです。

先日のUFC310でヒクソン・グレイシーの息子でグレイシー柔術、インビジブル柔術の伝承者のクロン・グレイシーの試合で、極め急いでるように見えたクロンが、相手が崩れてない状態でクローズドガードに引き込もうとして持ち上げられスラミングで意識を飛ばされ、追撃のパウンドでKO負けとなりました。

皮肉なものでグレイシー柔術伝承者のクロンがスラミングの危険性を教えてくれる形になるとは…

バーリトゥードからMMAに変わってしまったUFCでクロンが勝つには一本勝ちするしかないし、現在のUFCの5分×3Rで目に見えるアクションを求められるルールは、時間をかけて組み立てるサブミッションは難しくてクロンの柔術の良さがまったく出せません。

サブミッションによる一本勝ちではなくて、MMAでの勝率を上げるにはクロンが柔術家からMMAファイターになる必要があるけど年齢的に変われる時間はあるのだろうか?

ノーポイント・サブミッションオンリー・ノータイムリミット(長い試合時間)のプログラップリングイベントのWho’s Number Oneに参戦したほうがクロンのグレイシー柔術をそのまま活かせるしゴードン・ライアンぐらいのスター選手になれる可能性が高いのでいいと思う。

UFCへのチャレンジはカッコいいし素晴らしいけど… マラソン選手がスプリント競技にでているようなものでクロンの良さがまったく活かせないし、UFCでは対戦相手以外にもMMAという高度なスポーツを観て評論できても、柔術という奥深い武道を知らないオーディエンスたちとも戦わないといけない。

UFCが〝バーリトゥード〟から〝MMA〟にすり替わり、柔術競技が〝セルフディフェンス柔術〟から〝寝技競技〟にすり替わり、スポーツショーだけが残り、弱者がセルフディフェンスを駆使して戦いをサバイブし勝てるチャンスを待つグレイシー柔術の本質が無くなっていくのは残念で仕方ないです。

MMA(総合格闘競技)や寝技競技など高度なスポーツ競技が存在するのは素晴らしいことだと思いますが… UFCや柔術を世に出したグレイシー柔術の本質、セルフディフェンスが無くなるということは、競技の部分が強調されて、競技は上を目指す特性上、「強い者だけが格闘技や柔術をやって、弱い者は格闘技や柔術をやらないほうがいい」と遠回しに言っているようなものだと感じます。

https://youtube.com/shorts/srYxRSdwIwg?si=X8kIwQ6eUPvRM2bR

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