「外からのプレッシャーがかかると、必ず反発するプレッシャーが生まれる。私に試合を続けさせようとした父のほうも、愉快ではなかったはずた。『分かった。タオルを投げて家に帰ろう』と言うほうがずっと楽だったに違いない」
「当然、父にもプレッシャーがかかっていた。私、対戦相手、父。父は息子を前へ進ませなくてはならないというプレッシャーに立ち向かう、それが父の責任だった。父にのしかかった重圧だった。自分以外の人のプレッシャーに気づいていなかったのは私だけだ」
「自分だけに困難が降りかかっていると思っていた。この試合をするまでは、そんな経験をしたことがなかったからだ。これほどさまざまなプレッシャーがあるということを知らなかったし、それは経験して初めて理解できることだったのだろう」
「振り返ってみて、本物の男、つまり本物の戦士は、感情より理論に従うべきだと私は実感した。感情のせいで、やるべきことができない場合がある。そのとき論理的であればあるほど、冷静になれるし、ビジネスの能力が高まり、ポーカーが強くなり、闘いに勝てるようになるだろう」
「禅の境地に入り、心を無にすれば、どんな感情も現れない状態、自然にプレッシャーを消化できる状態になれるかもしれない。そこまで理解していれば、プレッシャーも、恐怖と同じように力に変えられる。余計な影響を受けなくなる。逆に、いくらプレッシャーに囲まれようとも、自分だけが影響を受けないでいられる」
「それからの私は、プレッシャーにますますうまく対処できるようになった。試合前にマスコミにつきまとわれるときも、ついにリングに立ったときも、最後までプレッシャーを感じないのが私だ。試合前に落ち着くために、よくロッカールームで二、三時間眠ったものだ」
「そばにいる兄弟や他の人たちが神経質になっても、私は楽な気持ちで過ごしていた。命が危ないときでさえ、今の私をこの『禅の境地』から引き出すことはできない。時間はかかるが、努力してそこにたどり着く価値はあると思っている」
byヒクソン・グレイシー