「配偶者を憎んでたあるのに家を出ない人さえいる。家や車を手放したくないために、出て行くことができないのだ。『ちくしょう。あんなに働いて、この家を買ったし、あれもこれも買ったんだ。出て行くわけにはいかない』」
「そういう、資産を失いたくないために、不幸な人生を送ろうとしている人を私は実際に知っている。妻と暮らす家を買うために、働き詰めに働いたが、ふと気がつくと、妻のことをもう愛していない。家を手放すことになるだろうか」
「そこてで、少なくとも立ち止まって考える。しかしほとんどの人はその場に踏み止まる。手に入れたもの、稼いできたものを失わないためだけに、退屈な暮らしを続け、すべてを手放せば損をすると考えている。私の場合は逆だ。自由を手に入れた。新しい人生を受け入れる勇気や意欲も生まれた。そして心から言う。今が一番幸せだ」
「私は最高の決断をしたと。格闘技以外のすべてをあきらめた今、すごくいい気分だ。結婚生活を振り返るときでさえも、幸せな気持ちで満たされている。別れてもいい関係でいたかったから、できる限りのことをしたし、今でも元妻は陰で私を悪く言うことはないだろう」
「ただ『あの人が出て行ったのは、もう私を好きでなくなったから。バカな男じゃない。いい人だった』としか言わないはずだ。しかし私が弁護士に頼んで家を売り、税金を払い、残金の一部を彼女に渡して別れていたら、こう言ったに違いない」
「『ひどい。私の家だったのに。何もかも失ってしまった』。もちろん、妻はもう億万長者ではないから、ぜいたくな暮らしはできないし、家などのローンも残っている。それでも私は、少なくとも彼女の世界を壊したりはしなかった」
byヒクソン・グレイシー