「すでにこの世を去った長男のホクソンについても、おもしろいエピソードがある。当時ホクソンは六歳で、ブラジルのジャーマンスクールに通っていた。とてもいい学校だった」

ある日、学校から帰ってきたホクソンに、私が『学校どうだった?』と聞くと、彼は『うーん……』と口ごもってしまった。明らかに話しにくそうだったので『何があったんだ?』と聞くと、しぶしぶ答えた」

「『苦手な子がいるんだ』。それまでの息子は、活発で、自信にあふれ、勇敢な子供だった。臆病なところもあったが、まだたったの六歳だったのだから無理もない。相手の子はおそらく七歳か、六歳の中でも大きいほうだったのだろう」

「その子が息子にちょっかいを出すようだった。ホクソンはそういうちょっとした乱暴をうとましく思いながらも、喧嘩をする自信がなかったのだろう」

「はっきりとは言わなかったが、心にわだかまりがあるようで、いろいろと話をするうちに、ようやく何もかも打ち明けてくれた。やはりその子が意地悪をして、息子をいじめていたのだ」
byヒクソン・グレイシー