
「ある日、そいつがまたからかおうとしたから、父さんはこう言った。『お前と喧嘩するつもりはないんだ。放っておいてくれ』。そして、覚悟を決めて、はしっこから順番に指を折り、こぶしを握り締めた」

「そのほうがしっかり握れるんだ。そして、腕を上げたまま、肩をちょっと後ろに引いた。殴りたくはないと思ったけど、もしそいつが押してきたり脅かしてきたりしたら、顔を横から殴らないほうがいい」

「もし殴るなら、鼻から口を狙って、強烈なパンチを一発だけ。たとえやられるにしても、少なくとも顔に一発当たれば十分だ。それで全部水に流してやればいい。それから一週間ばかりが過ぎたある日、息子が満面の笑顔で帰ってきた」

「『父さん、父さん。教えてくれたとおりにやったよ。顔に一発パンチを食らわせてやった。大声で泣くところを見せてやりたかったな。授業中もまだ泣いていたんだから。ところで、学校から父さんに話があるって』」

「やれやれ。私は学校へ行って、校長先生からたっぷり小言を食らったが、でも結局大きな問題にはならずにすみ、息子は本来の自信を取り戻した」
byヒクソン・グレイシー
