「私たち一家は永住するつもりで、カリフォルニアのトーランスへ引っ越した。アメリカの学校に転校したとき、息子は、英語がまったくしゃべれなかった。ドイツ語が少しとポルトガル語だけだった」

「登校初日、息子は学校から帰ってきてこう言った。『父さん、僕は七人を相手に喧嘩をしたよ』。私が理由を聞くと、『うん、実は…… 』と説明を始めた。息子は一度もバスケットをしたことがなかったので、他の子供たちがプレーするのを見ていた」

「ところが、自分もやりたくなって、ボールをつかんだまま走ったというのだ。ルールをまったく知らず、しかも英語が話せないので、他の子たちは嫌になってしまった」

「そのうちボールの取り合いが始まって、何がなんだか分からなくなり、喧嘩になったのだという。それでも自分らしく振る舞えたことで息子は落ち着いていた」

「大丈夫かと聞くと、『うん、大丈夫だよ』と答える。そこで私は、バスケットのルールがサッカーとは違うことを説明した。ボールはバウンドさせる、投げてパスをする、とかなんとか。これは楽しい思い出だ」
byヒクソン・グレイシー