柔術には勝ち負けよりも大切なモノが多い

ウチのアカデミーの基本打込みに、大腰とマウント返し（ウパ）があります。

大腰とマウント返しを習ったところで試合で勝てないので、ほとんどのブラジリアン柔術の道場はやらないと思います… 現在では柔道の道場ですら大腰はやらないではないだろうか？

以前、古い柔道家に聞いたことがありますが… 大腰は全ての腰技のエッセンスが入っているので、昔は使える使えないは別として、大腰から教えると聞いたことがありました。

大腰とマウント返しには技がかかる云々よりも大事な腰（身体の芯・体幹）の使い方や、体幹の力の伝え方が理解できます。

競技柔術はテイクダウン（投げや寝かして上を取る）など、色んなポイントがあるので常に腰が引けた状態になることが多いので技をかけるときにはパワーやスピードなど瞬発力にフォーカスが当たります。

パワーやスピードなど瞬発力が悪いと言うわけではなくて、相手としっかりコネクションを作り時間をかけてでも体幹の力を伝える感覚が分からなくなります。

結局、競技柔術のポイントシステムは白帯やビギナーの時には目に見えるポジショニングを理解させるのには最適ですが… その先にある、タイトなコネクションを通して相手としっかり繋がり体幹を伝えて目に見えない力や意志のやり取りが分からなくなります。

だから変な寝技競技になってしまい、セルフディフェンスによる闘いのサバイブや時間をかけて組み立てるサブミッションなどのグレイシー柔術（ブラジリアン柔術）本来の闘い方が変わってしまいます。

今の競技柔術を見ると、グレイシー一族が初期UFCやバーリトゥードで見せた弱者目線による本来のグレイシー柔術（ブラジリアン柔術）の戦い方よりも、勝って金メダルを取ったりチャンピオンの称号が欲しいだけなんだなぁ… って思ってしまいます。

柔術に勝ち負けも必要ではありますが… 勝ち負け以上に大切なモノが柔術には沢山あります。