「自分の可能性を知ることは、誰にとっても究極の目標だと思う。自信を持つために、自分が勝つことを確信する必要はないし、そもそも人生で必ず勝てると断言できることなど何もない。自信を持つために知るべきなのは、自分そのものだ。自分の可能性、プレッシャーに対処できる能力、生き残る確率を知ることで、自信が生まれる」

「ただし、それさえ分かれば自然と期待通りの結果が出るわけではないし、『おっと、負けそうだ、いや、勝ちそうだ』という感覚が身につくわけでもない。そのままでいれば安心かもしれないが、あえて厳しい未知の世界に飛び込めば、自分がどのような人間なのかを知ることができる。それに気づいているだけで、スタートが五倍は有利になる」

「今の自分より五倍も先を行けばどうなるか想像してみてもらいたい。かなりすごいことになるのではないか。だから私は知らないうちに自分の中に秘めていた力のすべてを、その手につかませてみせると約束しよう。『では、これから鍛えて一年後には、トーナメントでベテラン選手を倒せるようにしてやろう』などとばかげたことを言うつもりはない」

「自分について、自分の可能性について、知らなかったことを知れば、自分の幅を大きく広げられるということだ。たとえば、銀行口座を見ると十万ドルが入ってるとする。するとそれで何ができるか期待する。次の日見直してみると、今度は一千万ドル入っている。『すごいな、もっと違うことができるぞ。範囲が広がった。あれも、これもできる』というように」

「自分の最大幅、持っているすべての可能性を知ってほしい。それだけで、新しい自信が生まれ、別の可能性が広がる。もちろん、『必ずチャンピオンにしてやろう』などと現実離れしたことは言わない。しかし、今までに感じたことのない前向きな気分になれるはずだ。私は何度もそういう体験をしている」
byヒクソン・グレイシー