「ホイスはパンチをもらわずにボクサーを仕留め、次の試合では最大の脅威と目されていたケン・シャムロックをチョークにとらえて一分たらずでタップさせ、自信を甦らせた」

「決勝の相手は長身のオランダ人キックボクサー、ジェラルド・ゴルドー。ホイスはそれまでと同じ勝利の方程式を貫いた。テイクダウンしてチョークをかけようとしたとき、ゴルドーがホイスの耳に噛みついた」

「それを逃れたホイスのチョークが極まり相手はタップしたが、ホイスはなおも絞めつづけ、レフェリーに引きはがされるまで腕を解かなかった。UFCの試合で、ふだんはのんびりと控えめなホイスの秘めた獰猛さが解き放たれた瞬間だった」

「この試練に応えてみせた彼が誇らしかった。第一回UFCをグレイシー柔術のための宣伝イベントだったと批判する人が大勢いるが、ホイスが優勝するには自分よりはるかに大きな相手をひと晩で三人倒す必要があったことを忘れてはならない」

「どんな格闘家でも容易なことではない。ホイスがトータルで五分もかけずに優勝したのを見て、アメリカ人はグレイシー柔術の実力と効率性に目をみはった。ホイス・グレイシーは一夜にして格闘界のビッグネームとなり、グレイシー柔術人気が爆発した」
byヒクソン・グレイシー