「格闘技においてはテクニックも非常に重要だということだ。柔術では、わずかな体の位置の違いが、大きな差につながる。正しいポジションと正しい角度を取っていれば、大きな力が生まれる」
「それは目には見えないほどの違いだが、確かに感じることができる。たとえば、間違ったポジションの人と正しいポジションの人の写真を比べても、同じに見えてしまって、何が正しくて何が間違っているのかを『理解』することはできないだろう」
「ところがマット上で実際に組んで、私が『違う、違う、そうじゃない。こうだ』と言えば、すぐに、はっきりと分かるはずだ。少し直しただけでも見違えるようにうまくなり、かなりの手ごたえがつかめる。しかし、目には見えない。これは、ビデオやDVDで学べるものではなく、感じるしかない」
「正しい位置に自分を置いてもらって初めて『ああ、そうか、こんなに違うんだ!』と言えるようになるものなのだ。その素晴らしい力は、誰でも身につけることができる。その力があれば、人生を大きく変えることができる。社会での人間関係が変わる。プレッシャーがあるときの処理能力、ストレスに対処できる力……数え上げればきりがない」
「柔術の見えない力を学び、身につけた多くの人が、まるで別の人間に生まれ変わったようだと証言している。『覚悟ができている。潔くあきらめられる』『視野が広くなった。完全に力を出しきれる』『迷いがなくなった。どう対応すればいいのかが分かる。我慢できるようになった』。」
「さまざまな人生を歩んでいるいろんな人が、同じように感じている。人とつかみ合って闘った経験は、大きな力だ。人間同士の闘いほど大きなストレスを感じる体験は他にないのだから」
byヒクソン・グレイシー