「マチャド兄弟はいとこどうしだ。私はマチャド兄弟としばらく練習していなかったが、彼らは私の生徒でもあった。ヒーガン〔ヒクソンより八歳年下〕は大きな体とスキルを兼ね備えた黒帯で、毎年すべての色帯でブラジル国内王者に輝いていた」
「私と同じようにヒーガンも十四歳から大会で負けたことがなかった。スポンサーから私がヒーガンの試合を組むよう要請があった、とカーロス・ジュニアが主張したときはいっそう驚いた。ヒーガンはカーロス・ジュニア門下初の黒帯で、一族の新星だ」
「私に勝てばグレイシー柔術の新しい王者になる。スポンサーの要請うんぬんはでっち上げだった。カーロス・ジュニアがヒーガンの耳元でささやいたのだ。『お前が勝ったらどうなるか想像してみろ。一族の新しい王者だぞ』この試合の話をカーロス・ジュニアから聞いたとき、私はこう言った」
「『カーロス、それは間違いだ。スポンサーの要請か何か知らないが、私をヒーガンと戦わせたら一族の絆にひびが入る』マチャド兄弟とはしばらく練習していなかった。ヒーガンは今なら私に勝てると思ったのかもしれない。だから私は彼ら両方に警告した。マットに上がれば容赦はしないと」
「無差別級の決勝で私たちは顔を合わせ、組み合ったところでヒーガンが私を勢いよくマットに投げた。それをスイープして立ち上がり、一進一退を繰り返した。ふたりともアクセル全開だ。ヒーガンのほうが体は大きいが、私のペースについてこれないのはわかっていた。残り三分で攻防の激しさに疲弊した彼をチョークにとらえた」
「試合後、ヒーガンが私のところへ来て言った。『あなたと戦ったのは人生最大の間違いだった。もう二度とやりたくない。カーロスに頼まれて仕方なくやったんだ』『気にするな。今回のことは忘れよう』柔術の政治的側面に興味はなかったし、私には養うべき子が三人いた。この先はバーリトゥードのプロと戦いたかった」
byヒクソン・グレイシー