「指導者のなかにはファイターを育てることしか頭になく、武術が本来持つ多様な効用に目を向けない人物もいる。しかし私の道場はちがった。ペドロ・サワー、ルイス・エレディア、弟ホイラーなど、体は小さくても人間としての器が大きく困難にくじけない選手たちを指導して、チャンピオンにするのが楽しかった」
「私は人の体格に感銘を受けたことがない。謙虚さや自尊心を尺度に人を判断するようになったからだ。柔術を教えることが大好きだったのは、人の本当の姿があらわになるからだ。マットに足を踏み入れると白い道着をまとった人々が居並び、みなが腰に帯を巻いている」
「ひとたび交戦すれば、己の緊張や恐怖心を隠すことは難しい。逆に、小柄で柔和そうな男が真の戦士だということもある。勝っても負けても、粘り強く勇敢に戦う。臆病者は自分が優位に立ったときにはよくても、劣勢になるとたちまち『ストップ!痛い!疲れた!』と叫ぶ」
「生まれつき攻撃的な性格でも、じつは臆病な人間はいるし、そんな人の心は簡単に読み取れる。私は生徒たちにどう戦ったかだけでなく、どんな気持ちで戦ったかも自己点検させるようにした。正直に自分を点検すれば、より強い人間に変わることができる」
「誇りを持って自分の短所と向き合い、しっかりとその宿題をこなしたときにしか成長はおとずれない。もちろん、自分の意志で私の道場へ通いつづける人に、宿題をしてこないような愚か者はいないのだが」
byヒクソン・グレイシー