「ある道場内大会で、痩せっぽちの白帯と大学の水球選手を戦わせたことがある。白帯にとっては初めて経験する柔術の実戦だ」
「彼はアームロックを極められたがタップしようとせず、肘関節がミチッと音をたてた。それでも翌日の稽古に出てきた」
「同じ組み合わせでふたたび試合がはじまり、水球選手が白帯をテイクダウンしてそのまま三角絞めに入った」
「ブラジル人の生徒たちが無言の身ぶり手ぶりで白帯を指導すると、白帯は彼らの指示に従ってスイープし、逆に三角絞めにとらえた」
「試合後の表情から、誰より驚いているのは彼自身だということがわかった。彼はこの勝利をフロックと考えず、自信をつけた」
「そこからめきめき上達し、あらたに得た自信は人生の別方面へも流れ込んでいった。ほどなく彼は、夢にも思わなかった仕事上の目標を達成する」
byヒクソン・グレイシー