トラスト柔術アカデミー鹿児島・水俣dojo♪
「よく生徒を壁際に並ばせて、こう言い渡した。ここにいる全員で立った状態からグラップリングの試合を行う。相手役となる打撃の専門家にボクシングのクラブをつけてもらい、パンチをもらわずにテイクダウンしてみろと命じることもあった。この訓練ではどの間合いが危険でどの間合いが安全かを教えた」
「これがきわめて重要なのは、グラウンドで戦う場合と立って戦う場合の有利・不利を教えることができるからだ。そうして、距離を詰めて安全なグラウンドへ持ち込む方法を生徒は身につけていった。相手をテイクダウンできなければグラウンドでは戦えないのだから。道場内で予告なしに開く大会も私のお気に入りだった」
「こういう戦いにトロフィーはなく、観客もいない。ポイントや伝統的な制限時間もない。仲間たちが唯一の審判だ。私が笛を吹き『みんな、壁の前に立って』と言うと、場内はしんと静まり返る。『一六〇ポンド以下は私の左、それより重い者は右に』と指示するときは、針が落ちた音さえ聞こえるほどだった。こういう大会を行うことで武術道場にありがちな派閥やエゴを打ち砕くことができた」
「また、道場の食物連鎖の中で自分がどの位置にいるのかを誰もがわかるように、明確かつ公平な序列を構築した。ふだんの練習中は誰にも負けないのに試合になると行き詰まる生徒もいれば、ふだん見せない勝負強さを発揮して自分に驚いているような生徒もいる。王様になれるのは一日だけだが、成功を積み重ねれば私から高い期待をかけられる」
byヒクソン・グレイシー