「試合の夜、アリーナに着くと、ホイスの緊張はさらに高まっていた。ホリオン自身の不安も手に取るようにわかった。何年もかけてグレイシー柔術を世に知らしめる場を計画してきたが、ホイスを出場させた判断が裏目に出る可能性もある」
「私はホイスに歩み寄り、落ち着かせようとそっと抱きしめた。そしてこう言った。『お前がどんな気持ちをしているか、私にはよくわかる』ズールとの最初の戦いで同じ精神状態を味わっていたからだ」
「『大丈夫。戦う準備は万全だし、私がずっとついている。さあ、深呼吸をして。準備をしよう。もうすぐすべてが終わる。つらい練習の時間は終わったんだ、ホイス。特訓中の私より厄介なやつなどいない』それは真実だった」
「ホイスは知らなかったが、かつてブラジリアでホーウスが私にしてくれた準備をホイスにも授けていた。(あとでわかったことだが)サモアの相撲取りが蹴りを浴びて口から歯が飛んだとき、血に飢えた観客の歓声が湧きあがり控え室まで聞こえてきた」
「数分後、スタッフがドアを開けて頭を突き入れ、入場の準備をするよう告げた。ホイスは緊張の面持ちながら決然と立ち上がった。ボクサーのアート・ジマーソンとの大事な初戦に向けて彼を落ち着かせてきた努力は報われた」
「ホイラー、へウソン、私の先導で金網に囲われた会場中央のリングへと歩を進めていくと、観客の中から父が駆けてきて、私の耳元に大声でその教えを叫んだーーーいちど将軍になれば、将軍として名が残るのだ」
byヒクソン・グレイシー