「次の相手はアメリカ人のダレッド・レビキ。身長一九一センチで、体重一二三キロ、詠春拳の使い手だ。試合前に彼を廊下で見かけ、敬意を表して歩み寄り、握手した。彼は『腕を取っても折らないでよ』と冗談めかした。私は唖然とした」
「これでは、はじまる前から勝ったも同然だ。彼のセコンドとコーチを務めるジェラルド・ゴルドーは第一回UFCでホイスの耳に噛みついたオランダのキックボクサーで、蛇のように卑劣な男だったが、レビキはちがった。リングに上がったとき、彼は不安そうで、なかなか交戦しようとしない」
「勝つことより生き延びることに気がいっていた。レビキのリーチが恐ろしく長かったため、私はストライカーではないが、距離を詰めてグラウンドへ持ち込むためにまずパンチをくり出した。クリンチにとらえて倒しにかかり、その勢いでいっしょにリングから転落した」
「エプロンから落ちるときには彼が上だったが、硬い地面の上で私は体を入れ替え、上になってその場で攻撃に転じた。レフェリーに引き離され、私はすぐリングに戻った。落下時に大怪我をしていてもおかしくなかった。この試合は早く終わらせよう」
「大柄なアメリカ人はなかなか立ち上がらず、リングに戻りたくなさそうだった。ようやく戻ってきた彼をふたたびグラウンドに持ち込み、マウントを取ったが、ここではパンチではなく、膝を腰に打ち込んだ」
「一撃ごとに戦意が失せていくのがわかった。ゴルドーが指示を叫んでいたが、どうにもならない。結果はマウントパンチによるTKO。チョークをかけるまでもなくレビキは戦意を喪失していた」
byヒクソン・グレイシー