「格闘の試合では精神面がもっとも難しい。息子のホクソンでさえその側面は会得できずじまいだった。ホクソンはよく、自分の目標は私と同じかそれ以上の柔術家になることだと言っていた」
「基本的には、私が彼の年齢で抱いていたのと同じ目標だったが、追求の仕方はまったくちがっていた。彼は私の後継者になりたくて無理をしすぎた。つねにいそいいた。何もかもがもどかしかったのだろう」
「アクセルを常時ベタ踏みしていた。じっくり構えて相手のミスを待とうとしなかったーーー攻撃、攻撃、攻撃あるのみ。大会に出場すると、竜巻のように相手に襲いかかった。防御も、忍耐も、カウンターもクソ食らえ」
「たちまち戦いは激化し、そこに関節がないときでもサブミッションに行く。私はくり返し『落ち着け!落ち着け!』と言ったが、効果はなかった。ホクソンには最高のグレイシーになれる道具と資源がすべてそろっていた」
「私の知識や、最高のトレーニングパートナー、家族の支援に加え、情熱と意欲も備えていた。もし彼がタイミングや接点、体重分配、圧力を駆使して自分の柔術に幅を持たせていたら、はるかにいい結果が得られたはずだ」
「そう、ホクソンは恐れを知らず勇敢だったが、私とちがってリスクをまったく計算せず、無謀な戦い方をした。そのうえ、どんどんダークな側面へ流されていった」
byヒクソン・グレイシー