「目に見えない技術を知ることは、それが分かっていれば、今まで知らなかった感覚をつかむことができるし、動きの効果はまったく違ったくるだろ。楽々と自分より三十キロも重い相手を倒せるようになるかもしれない。普通のワザだけでは、そんなことは不可能だ。セミナーで私はたいていこう言う」
「『さあ、みんな。シザースイープをやってみよう』。これは柔術の基本の動きだ。私がブロックすると、相手はスイープできない。そこで私は聞く。『どうした?』『ああ、できません。重すぎる』。そこで私は言う。『よし、じゃあ次の人。やってみよう』『私も無理です。ブロックが強くて』。そして次に、逆ブロックをやってもらう」
「ブロックをかけさせて、私がスイープすると、今度はブロックできない。次の人もその次の人も、誰もブロックできない。何が違うのだろう。誰も答えられず、みんなが不思議がる。『違いはここ、角度がこれではだめだ。こういう角度にするんだ』。まだ実感できていない人には、『だめだ、だめだ。そうじゃない』と教える」
「正しい角度をとらせて、私の感覚をつかんでもらう。そうすれば必ず実感できる。実際、そのあと試してみると、私がブロックしていても、必ずスイープできるようになっている。私のセミナーはそういう進め方をする。力やスピードに頼っていた動きとの違いを実際につかんでもらい、技術を使った動きを教える」
「わすが一インチほどしか違わなくても、その一インチが、多くの動きをまったく違うものに変える。教えられた人はたいてい驚く。大きな違いを実感することができる。ただし意識せずに見ているだけでは分からない。私が教えているのは、そんな目に見えない柔術の技だ」
byヒクソン・グレイシー