
「アイルトン・セナが無私無欲の深い精神性を備えた人物だったことは、偶然ではないと思う。彼は負けず嫌いで有名だったが、思いやりの心があった。九二年のベルギーGP。練習走行中にフランス人ドライバー、エリック・コマスが時速二〇〇マイルで壁に衝突し、意識不明になった」
「コマスの足はまだアクセルに乗ったままで、いつ炎上してもおかしくない状態だった。セナは一瞬のためらいもなく、コースの真ん中で車を止めて外へ飛び出し、コマスのもとに全速力で駆けつけてモーターを切り、救急車が到着するまでドライバーの首を安定させていた」
「九四年にセナがレース場で亡くなったときは悲しかったが、驚きはしなかった。ずっと死と隣り合わせのところで戦っていたからだ。オーランド・カニとのトレーニングを経て、私はどんなルールでも誰が相手でも戦おうという気持ちになった」
「自分より二〇〇ポンド重くてもかまわない。一種の自殺行為だが、大きな使命を果たすためなら喜んで体を犠牲にしよう。ここに至って、最悪の悪夢を思い描いたときにもそこに恐怖はなく、心の安らぎがあった。その過程で死ぬならそれが運命なのだ」
byヒクソン・グレイシー
