
「テレゾポリスに着くと、馬に乗ったりサッカーの試合をしたりした。友達が遊びにきたり、ベッドで朝食を取ったりと贅沢な時間を過ごした。しかし、芝生の上にエリオが広げた大きなキャンバス地の防水シートの上で、男の子はみんな毎日柔術の稽古をしなければならなかった」

「私たちはさしずめ、エリオの雄鶏に育てられる途中のひな鳥だった。一族の王者にはいとこのカーウソンが君臨していたが、私より十六歳年上で、格闘歴の終わりも見えていた。次の王者は誰なのか?カーウソンからその座を奪う競争が激化していた」

「エリオが競争をうながす。グレイシーという食物連鎖のどこに誰がいるのか、私はつねに見定めようとした。対決や試験もあった。父がキャンバス地のシートに上がり、手を叩いて、『よし。ホーウスとホリオン!』と言うと、ふたりは躊躇なく前へ出てスパーリングを開始する」

「ホーウスとホリオンは人生に対する取り組み方が大きくちがい、それはそれぞれの柔術にも反映されていた。ホーウスが私たち世代最強であることに疑いの余地はなかった」

「当然ホリオンにはつらいところだ。彼自身が一族の王者、グレイシー柔術の大使でありたいと思っていただけでなく、父も彼を王者にしたいと願っていたので、より大きな重圧にさらされた」
byヒクソン・グレイシー
