
「稽古のときは兄弟全員をじっくり観察した。ひとりひとり長所と短所がちがったからだ。私は知りたかった。勇敢なのは誰か?臆病なのは誰か?死ぬまで戦うのは誰か?頭に血が上りやすいのは誰か?優柔不断なのは誰か?いちばん感銘を受けたのは兄ホーウスだ」

「七つ年上の彼は私たちのリーダーで、私のあこがれの存在でもあった。信じられないカリスマ性の持ち主で、生まれながらの戦士だった。ホーウスは伯父カーロスの実子で、私の家で働いていたクラウディアという十八歳の女性との間に生まれた」

「私の母マルガリーダに子どもができなかったので、カーロスが赤ん坊だホーウスを父にあたえ、自分の息子として育てさせたのだ。ホーウスはうちの兄弟といっしょに育ち、幼少期のほとんどを私と同じ部屋で過ごした」

「兄が十歳くらいのとき、クラウディアはルフトハンザ航空で働くためにニューヨーク市へ許を移した。この仕事の特典として、従業員割引の航空券があった」

「おかげでホーウスは私たちより早く世界を旅することができた。英語はもちろん、イタリア語も話せるようになった。パーク・アベニューでも、ハーレムのジャズクラブでも快適に過ごすことができた」
byヒクソン・グレイシー
