
「ほかの家族とはちがってこの兄は頭が柔らかく、進取の気性に富み、外にアイデアを求めることを厭わなかったため、その姿勢が柔術にも役だった。柔道とレスリングとサンボも練習し、それぞれの競技大会にも参加して柔術の上達に役立てていた」

「エリオと同じく、彼のつねに相手を降参させて勝ちたいと考える、積極果敢な攻撃スタイルだった。私がホーウスをがっかりさせたときは、何がなんでも名誉を回復しようとした。十三歳のとき、大男にヘッドロックをかけられた」

「落ち着いて首を守るべきところを、あわてふためきもがいた挙句タップしてしまった。ホーウスが見ている前で降参したのが恥ずかしかった。家に帰って、彼にお願いした。十分間、自分を絨毯で巻き上げ、どんなに叫んでも出さないでほしい。このときリオは夏で、とても暑かった。絨毯は悪臭を放っていた」

「巻き上げられた最初の何分かは窒息して死んでしまうかもしれないと思った。しかし、覚悟を決めて不快な状況を受け入れると呼吸がゆるやかになり、時間の感覚が消えた。翌日はこれを十五分に延ばし、週末までに恐怖を克服した。この経験から、柔術について大きな教訓を得た」

「ときには脱出することより、窮地の中で可能なかぎり快適な状況を見つけることが大切になる。胸郭をわずかに回転させて呼吸をしやすくするといった小さなことが勝敗を分けるかもしれない。私にとって、これは技術的発見というより精神的発見だった」
byヒクソン・グレイシー
