
「上流階級の子たちの多くは自分の身を守る方法をまったく知らなかったので、私の目にはまぬけに見えた。世の中の現実を知らず快適な空間だけで生きている過保護な子どもにはなりたくない」
「母の裕福な友人たちが私と同じ年ごろの息子を連れてよく家にやってきたが、年の離れた兄たちと育った私に彼らと仲よくなれと言われても無理な話だ。彼らはディズニーの新作映画の話をしたがるが、私は『プレイボーイ』誌の最新号やレッド・ツェッペリンの新しいアルバムの話をしたかった」
「彼らが帰ったあと、母が『ジョゼちゃんはどうだった?』と訊く。『甘やかされたクソガキだった』『どうして好きになれないの?』『あいつは賢くないよ、母さん。なんにも知らないんだ』お金と社会的地位で線引きされる人がいることは理解しはじめていたが、私は自分の能力で線引きされたかった」
「ブラジルには世界じゅうから人が集まっている。ヨーロッパ系ブラジル人、アフリカ系ブラジル人、日系ブラジル人、インド・アフリカ系ブラジル人など、想像できるだけの人種や民族が組み合わさっていた。いっぽう、階級や事情はちがった。金持ちは貧乏人とは交わらなかったからだ」
「母方の祖父はデパート一軒と数多くの不動産を所有する富豪だった。母マルガリータは旅行の経験が豊富で、フランス語を話せ、リオの上流社会の一員だった。彼女の父親は、社会的地位に劣る“格闘家〟に娘がのぼせ上がったことを快く思っていなかった」
byヒクソン・グレイシー
