
「カニの風貌は七〇年代のヒッピーヨガ教師を彷彿とさせたが、その印象は実際とはかけ離れていた。私より二十以上年長で、軍の落下傘部隊にも所属したブラジル史上最高クラスのアスリートだった」
「水泳、体操、長距離走、射撃でチャンピオンに輝き、数々の格闘技にも精通。世界陸軍五種競技大会で二度の優勝を果たしたあと、当時のウンベルト・カステロ・ブランコ大統領から国内最高のスポーツ栄誉賞である〈スポーツ功労十字章〉を授与されている」
「競技引退後はハタ・ヨガとプラナヤマ呼吸法に全精力を傾け、インドに渡って現代ヨガの父シュリ・ヨゲンドラに師事した。授業がはじまると、カニは年齢の割に俊敏で動きがよく、私は感心した」
「生徒は彼の動きをまね、彼はみんなに声をかけながら、リラックスして呼吸し頭を空っぽにできるようはたらきかける。『鳥になったつもりで腕を動かしてごらん』などと言っていた。リズミカルで流れるような動きはヨガというよりダンスのようだ」
「私も簡単に瞑想状態に入ることができた。何も考えず、ひたすらカニの動きを追ってまねた。授業が終わりにさしかかったころ彼からわきへ呼ばれ、『ヒクソン、きみは特別だ。とても能力が高いから、個人的に教えたい』と言われた」
byヒクソン・グレイシー
