「心を空っぽにすることを学び、謙虚でいられる自信がつくと、その謙虚さが成長に大きな役割を果たしてくれた。VTJ94に優勝しただけでその栄光に満足してはいなかった。自分の弱点に厳しい目を向ける謙虚な気持ちがなければ、見落としていた細部を検証することはできない」

「自分を駆り立てるには、日常的にストレスや落胆や不満を感じる必要がある。かならず不利な状態から練習に取り組むよう心がけ、生徒全員を並ばせてひとりひとりと試合をすると言い渡すこともよくあった。三分間生き延びれたら生徒の勝ちだ。私が使えるサブミッションは左腕へのアームロックに限定した」

「十九人に勝ってもひとりが三分持ちこたえたら、負けた気分で帰ることになる。負けにつながる課題をたえず創り出すことで、敗北の味をつねに噛みしめていた。練習に練習を重ねても上達しない人がいるが、それは勝てる相手に得意なことしか練習してないからだ」

「自分の弱点に取り組まないから成長が止まり、競争相手に追いつかれる。『うるさい、俺は得意なことだけやっていく』と口にする王者はいずれ挫折する。才能があってもそれだけでは限界があるからだ。自分自身を理解しないとかならず壁にぶち当たる。また、孫氏や宮本武蔵を諳んじても偉大な戦士にはなれない。戦いは芸術であると同時に科学でもあるからだ」

「創造性や情熱や本能が必要だから芸術なのであり、技術やタイミング、強さや持久力といった経験的側面は科学の領分だ。セコンドから『右へ動け』と指示が飛んでも、私は『右なんて行くか、左だ』と心の中でつぶやくことがある。リングに立っているのは私だ。ほかの誰にも見えないものを見、誰にも感じれないものを感じているのだから、自分の直感を信じるしかない」
byヒクソン・グレイシー