「この試合では、内面から湧き上がってくるきわめて原始的な恐怖にさらされた。心の動揺は負けることへの恐怖に由来する。起きてもいないことを恐れるときは、自己防衛の形として”投げ出す〟という選択肢が出てくる」
「恐怖は敵ではない。管理しなければならない自己防衛のメカニズムなのだ。当時の私には無条件に自分を信じられるほどの自信はなかったし、未知のものに対する恐怖があった。ただならぬ感覚だった」
「父と兄に背中を押されて切り抜けたが、疑念や心の動揺は格闘家としての自分に害を及ぼす、と自分に言い聞かせた。心を制御できれば、パフォーマンスのあらゆる側面を高めることができる」
「そういう心の安定があれば、身体能力は戦いというパズルの一部にすぎない。それまではすべての理論上のことだったが、ここであらたな現実に直面した。初のバーリトゥードで学んだのは、肉体ではなく感情が壊れる可能性だ」
「肉体面と精神面には自信があったが、心と感情には確信がなかった。心がしっかりつながっていなければ、板子一枚下は地獄という状況を生き延びてはいけない。この日以来、結果がどうであれかならず河を渡る努力をしようと胸に誓った」
「そのおかげで格闘家としてだけでなく人生観にも大きな変化が生まれた。今後は、何かに携わったからにはかならず前へ踏み出し、どんな結果も受け入れていこう」
byヒクソン・グレイシー