トラスト柔術アカデミー鹿児島・出水鶴柔術♪
「グレコローマンレスリングの元選手で体重が二五〇ポンドあり、総合格闘技黎明期に活躍したステファノス・ミルトサカキスのような威圧的人物がピコ・アカデミーに現れたときは、私自身が対応した。ステファノスはギリシャ代表にもなったヘビー級のレスラーで、キックボクシングの経験もあり、とくに立って戦ったときにはすばらしいグラップラーだった」
「彼は共通の友人に連れられて道場へやってきた。ここでいっしょに練習したいと丁重に申し入れてきた。誰かが『一緒に練習したい』と言うとき、そこには親善的なグラップリングの試合から全面的な決闘までいろんな意味が含まれているものだ。更衣室からムエタイのトランクス一枚で出てきた巨漢のギリシャ人に、私はどんなルールがいいか尋ねた」
「バーリトゥードを提案すると彼はびっくりして、『グラップリングがしたかっただけだ』と言う。当時の私は初めて来た人に、お望みならとことんやると伝えていた。私たちは立ったまま十分近く押したり引いたりした。最後にグラウンドへ移行したとき、ステファノスは顔に膝を押しつけてきた。戦いでは相手を苦しい状態にすることが重要と理解しているわけだ」
「ただ彼がこのままペースを維持できないのはわかっていたので、疲れが見えたところでバックを取り、チョークでタップを奪った。二十五分におよぶ激しいグラップリングで、そのあと五、六回タップさせた。彼はショックを受け落胆していたが、『こんな目に遭ったのは初めてだ!』と入門を願い出た」
「ピコ・アカデミーの生徒と哨兵の両方にステファノスを迎えることができて、私は満足だった。彼は道場の技能レベルを高めてくれただけでなく、必要に応じて用心棒の役割も果たしてくれた」
byヒクソン・グレイシー