blog

しかし、現実は少しちがった

「一九六八年、キムは第三子を出産した。カウリンと名づけた次女は姉よりホクソンに似ていた。恥ずかしがり屋だが好奇心が旺盛で、恐れを知らない。自分の意思を押し通し、やりたいように物事を進める戦士だった」

「結婚生活にはいろいろあったが、子どもたちは大きな喜びをあたえてくれた。同年、アメリカのファッション写真家ブルース・ウェーバーがブラジルのアスリートを撮影するためリオをおとずれ、私のことを耳にしたと言う」

「彼の宿泊先で会ってしばらく話をするうち、彼は私の一族に魅せられ、私たちの歴史と伝統に興味を持った。肩肘を張らずに腹を割って人と接するのが彼の仕事の流儀だ。彼は私を理解しようと、いっしょにビーチへ行き、食事をともにし、暮らしぶりや子育ての状況を身近に観察した」

「彼のカメラはそのころの私たちを活写している。私は地球上でもっとも強靱な手に負えない人間のひとりだったが、彼は私の遊び心や優しさ、子どもたちを思いやる気持ちといった人間性をしっかりととらえていた。私の人生と性格の複雑さを直感的に理解したのだ。ふたりは友人になり、いまもそれは変わらない」

「ブルースはその美しい写真で、私を初めて世界の人々に紹介してくれた。何の問題もない幸せな家族のふりをするのは難しいことではない。キムと子どもたちは美しく、私はアスリートとして成功を収め、はたから見れば理想的な家族だっただろう。しかし、現実は少しちがった」
byヒクソン・グレイシー

-blog